プロダクトマーケットフィット(PMF)について調べると、
「PMFを達成するには」「いかに早くPMFに到達するか」といった記事が多く出てきます。
ですが、実際にビジネスを考えていると、
この表現にどこか違和感を覚える人もいるのではないでしょうか。
PMFは本当に「達成するもの」なのでしょうか。
私はそうは思っていません。
この記事では、
PMFを目標やゴールとして扱うことへの違和感を起点に、
責任の範囲という視点からPMFを整理していきます。
プロダクトマーケットフィット(PMF)とは何か(最低限の前提)
まず前提として、一般的なPMFの定義を簡単に確認しておきます。
プロダクトマーケットフィット(PMF)とは、
商品やサービスが、特定の顧客の需要にうまく合っている状態を指す言葉です。
- 無理に売り込まなくても選ばれる
- 「これを探していた」と言われる
- 紹介や口コミが自然に起こる
こうした状態をまとめて、PMFしていると表現されます。
ただ、この説明だけでは
「では、何をすればPMFになるのか」は分かりません。
ここに、PMFが分かりにくくなる原因があります。
PMFは「達成」するものではない
私がPMFという言葉に違和感を覚えるのは、
それが何かを成し遂げた結果としてのゴールのように扱われている点です。
PMFは、
- 試験に合格すること
- 数値目標を達成すること
- チェックリストを埋めること
とは性質が違います。
PMFとは、
顧客の需要に対して「どこまで責任を持つか」を決め切った供給が、
継続した結果として、後から振り返ってそう呼ばれる状態
このように捉える方が、実態に近いと感じています。
なぜPMFを「達成しよう」とすると迷子になるのか
PMFを目指そうとすると、多くの人が同じところでつまずきます。
それは、
責任の範囲を決めないまま、全部をやろうとしてしまうことです。
- 顧客の悩みを全て解決しようとする
- 成果まで責任を持とうとする
- できることを全て盛り込もうとする
その結果、
- 何をしているサービスなのか分からなくなる
- 説明が長くなる
- 誰にも強く刺さらなくなる
という状態に陥ります。
これは、
「全てを叶える必要はない」という考え方を抜きにして
PMFを語ろうとすること自体が無理なのだと思います。

責任の範囲が決まると、供給は自然に形になる
PMFを理解するためには、
「何を提供するか」よりも
「どこまで責任を持つか」を見る方が分かりやすくなります。
歯医者の例
歯医者を例に考えてみます。
「歯を健康にしたい」という需要に対して、
供給の範囲は実は段階に分かれています。
- 予防やメンテナンスまでを担う歯医者
- 虫歯の治療まで行う歯医者
- 治療後の維持管理まで含めて診る歯医者
どれが正しいかではありません。
どこまで責任を持つかが明確だから、
必要とする人に選ばれているのです。
パーソナルジムの例
パーソナルジムでも同じことが言えます。
「痩せたい」という需要に対して、
- 標準体型までを目指すジム
- くびれ作りに特化したジム
- 維持管理までサポートするジム
それぞれ、責任の範囲が違います。
「必ず痩せさせます」という言葉よりも、
どこまでを約束しているのかがはっきりしている方が、
結果として信頼されやすくなります。
PMFは「作るもの」ではなく「続くもの」
PMFは、一度成立したら終わりというものでもありません。
- 環境が変われば崩れる
- 顧客が変われば噛み合わなくなる
- 提供者が無理をすれば続かなくなる
だからこそ、
PMFは「達成したかどうか」よりも
維持できているかどうかの方が重要です。
責任の範囲を定め、
無理なく続けられる形で供給できているか。
その結果として、
PMFは自然に現れます。
納得解メソッドにおけるPMFの位置づけ
納得解メソッドでは、ビジネスの流れを次のように整理しています。
- 良い需要を見つける
- 適切な供給を設計する(責任の範囲を定める)
- 無理なく続けられる形で届ける
PMFは、この②と③が噛み合い、
回り始めた結果として現れる状態です。
PMFそのものを目標にする必要はありません。
まとめ|PMFを達成しようとしなくていい
プロダクトマーケットフィットは、
何かを成し遂げた証明ではありません。
まず考えるべきなのは、
- 誰の
- どんな需要に対して
- どこまで責任を持つのか
この線引きを、誠実に決めることです。
それを続けた先で、
PMFは結果として現れます。
プロダクトマーケットフィットとは、
目指して達成するものではなく、
責任を決めた人に後から訪れる状態である。
この考え方が、
PMFに対する見え方を少しでも整理するきっかけになれば幸いです。
