今回は、書籍『ブルー・オーシャン戦略』を紹介します。
競争のない市場でビジネスを行うための考え方をわかりやすく解説する良書です。
ビジネスにおいては価格競争は当たり前に行われています。
そして限られた市場を奪い合う血みどろの戦いが起こっています。
消耗戦に疲弊して成す術なく苦しんでいる企業も多いですよね。
そんな状況を打破する全く新しい戦略があるとしたらどうでしょうか?
この書籍はそんな画期的な新戦略を提案する素晴らしい内容となっています。
これから起業したいと考えている方も、既に事業をされている方も、必ず役立つものです。
ブルーオーシャンとは?
ブルーオーシャンとは、今はまだ生まれていない市場全てを指す言葉です。
それに対して、レッドオーシャンとは、既に知られている市場を意味しています。
レッドオーシャンでは、その市場の中で限られたパイを奪い合っています。
そしてそれが当たり前だと思い込んでいるのです。
競争のルールも広く知られ、製品は似たり寄ったりになっています。
ブルーオーシャンでは、まだ開拓されていない新しい需要を掘り起こします。
既存のビジネスの枠を超えて創造される市場には大きな利益が期待できます。
そしてブルーオーシャンを切り開く企業は業界に新しいルールを生み出し、競争することなく事業を拡大できるのです。
既存の市場には新規参入する企業も当然あるため、徐々に供給過多になっていきます。
そのためシェアを奪い合う競争に注力し、疲弊することになるのです。
これでは経営資源の少ない中小企業や個人事業主は生き残っていけません。
ビジネスを長期的に存続させていくには、ブルーオーシャンを切り開いていくしかないのです。
ブルーオーシャンの見つけ方
ブルーオーシャンを見つけ出すのが重要であることはご理解いただけたと思います。
では実際にブルーオーシャンを見つけるにはどうすれば良いのでしょうか?
ブルーオーシャン戦略では、6つの観点から市場を捉え直すことを提案しています。
代替産業に学ぶ
視野を広げて市場を捉え直すには、同業他社だけを見ていてはいけません。
時には全く別の業界から学びを得ることもあるのです。
例えばレストランと映画は提供するものは全く異なります。
ですが外出して楽しい時間を過ごすという目的において共通しています。
このように全く異なる事業でも、お客さまにとっての目的が同じであれば、代替関係にあるのです。
ということは、お客さまがお金を使う選択肢として、あなたの事業と競合すると言うことです。
お客さまが代替産業を選択する理由の中には、同業では全く考えてもいなかった観点があるかも知れません。
そこに新しい市場を切り開くヒントが潜んでいるのです。
競合他社と差別化するために、似たり寄ったりな工夫にコストをかける必要はありません。
お客さまに選ばれるために必要な判断基準を別の観点から見つけ出せば良いのです。
業界内のほかの戦略グループから学ぶ
業界の中で競争をしていると、どの企業も似たり寄ったりな戦略をとっている場合があります。
そこで業界の中で全く別の戦略をとっている別の商品サービスの特徴と比較してみるのです。
例えば飲食店を考えると、ファーストフードの手軽さと、高級料亭の品質には全く相容れないものがあるように感じます。
ですがそのメリット両方を実現できるアイデアを考え出すことができれば、全く新しい市場に成り得るのです。
このように同業の中でも、違った観点で戦略をとっている商品サービスが必ずあります。
そこからお客さまに選ばれる判断基準を見出し、他の部分でコストカットしてイノベーションを生み出すのです。
買い手グループに目を向ける
ビジネスにおいては、買い手と利用者が異なる場合があります。
この違いから新しい市場を見つけ出すことも可能です。
買い手と利用者では購入する際の判断基準が違うからです。
例えば塾で言うと、買い手は親であり、利用者は子どもです。
買い手である親は学力の向上を望み、子どもは楽しさを求めているかも知れません。
進学率を重視する塾業界の中で、子どもがどうしても行きたがる塾を作っていくのは、ブルーオーシャンに成り得ると言うことです。
このように買い手グループに目を向けて、今までになかった価値を生み出すことも一つの選択肢なのです。
補完財や補完サービスを見渡す
商品サービスを購入する際に、他のサービスを併用することで価値が増大する場合があります。
例えばパソコンを購入するなら同時にセキュリティソフトも購入する可能性が高いはずです。
こういった補完的な商品サービスが元々の商品サービスの需要に影響すると考えるのです。
すると今までは関係がないと思われていた観点から新しい市場を見つけ出すヒントが得られると言うことです。
お客さまがあなたの商品サービスを購入する際に、何がネックになっているか見落としていないか考えてみてください。
どんなシーンでどんな目的で商品サービスを購入するのか、その前後に新しい市場の観点が潜んでいるのです。
機能思考と感性思考を切り替える
業界の中で、機能性を重視して戦略を取っている場合と、感性を重視して戦略を取っている場合があります。
例えば散髪屋さんでは、いかにオシャレな髪形にするか、に焦点を当てて競争をすることが多いです。
そこで機能性を重視する方向に切り替え、とにかく早く髪を切れる、というコンセプトで事業を行うことができるのです。
逆に機能性を重視なファーストフードにおいて、接客サービスの向上で全く違う雰囲気を生み出すことも可能かも知れません。
業界が何を重視して競争しているかを見極めることで、そこから全く逆のアプローチが見つかることもあると言うことです。
将来を見通す
どんなビジネスでも時代の変化と共に環境の影響を受けます。
それが業界のトレンドにもなっていきますが、トレンドを追っているだけではブルーオーシャンは見つかりません。
トレンドが世の中にどんな変化をもたらし、どんな市場が生まれるかを考える必要があるのです。
例えばスマートフォンが普及したことで、今までパソコンで見るように作られていたホームページは見づらくなりました。
そこでスマホからでも見やすいホームページにするレスポンシブ対応という需要が出てきたのです。
今後はAIの発展が目覚ましいものになるのは間違いがありません。
すると今まで創造的な業務は人にしかできないと言われていたものが、AIに置き換わる可能性があります。
将来はこのAIをいかに活用できるかが大きな市場を生み出すかも知れないのです。
感想
マーケティングについて学んでいると必ずと言えるほど耳にするブルーオーシャン戦略。
実際に読んでみると全く新しい市場を見つけ出すヒントが多く述べられていました。
それだけではなく、具体的にブルーオーシャン戦略を実践していくことにも焦点を当てています。
市場を分析するフレームワークや、社内でどのように立ち回れば良いかなど体系的に解説されています。
これを読んで実践すれば、多くの人がブルーオーシャンを見つけ出し、競争のない市場に足を踏み入れることができるでしょう。
マーケティングを学んでいる方だけではなく、ビジネスパーソンやこれから起業したい人にも是非読んでいただきたい一冊です。
私も何度も読み直して、このノウハウをコンサルティングに活かしていきたいと考えています。
『ブルーオーシャン戦略』を購入されたい方はこちらをご参照ください。
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