様々なマーケティング手法が開発され、マーケターはそれらを追うだけでいっぱいいっぱいになっているかも知れません。
本来マーケターは顧客を最も理解する立場にいるべきなのにです。
今回紹介する書籍では、こういった問題点を指摘しつつ、本当に顧客を理解し、適切なマーケティングを実施する方法について解説されています。
それは単に大規模な市場調査をするだけでは見えてこない、たった一人の顧客を起点としてビジネスアイデアを生み出す方法です。
今回は西口一希著『顧客起点マーケティング』について解説します。
著者紹介

多くの企業でマーケティングに携わっている第一人者のようです。
書籍も多く出版されていて、マーケティングについて学ぶには効果的な方だと思います。
アイデアとは何か?
この書籍ではアイデアという言葉の定義を明確に示しています。
それは「独自性」と「便益」が両立したものです。
独自性とは他にはない唯一無二の特徴のことです。
そして便益とは顧客が得られる利益のことです。
独自性がなければ既存の商品サービスと変わらないよくあるアイデアになってしまいます。
便益がなければただ斬新なだけでニーズのない商品サービスになってしまいます。
この両方を満たすビジネスアイデアこそ、マーケターが考えるべきアイデアだと主張しています。
プロダクトアイデアとコミュニケーションアイデア
上記の定義でアイデアを考える際に、もう一つ大事な観点があります。
それは商品サービスそのもののアイデアであるプロダクトアイデアと、認知してもらうためのコミュニケーションアイデアです。
この区分を明確にすることで、アイデアが有効かどうかを見極めることができるようになります。
例えばプロダクトアイデアの独自性がやや弱かったとしても、便益がしっかりとしていれば、コミュニケーションアイデアで補強して売上につなげることができます。
逆にプロダクトアイデアの便益が弱かった場合は、いかにコミュニケーションアイデアで認知を増やしても継続的な売上には役立たないのです。
このことからプロダクトアイデアの便益こそ最も注力すべきポイントだと分析することができます。
たった一人の分析から事業が成長する理由とは?
例えばプレゼントを選ぶシーンで考えてみましょう。
- あなたと親しい友人に送る場合
- あなたの同級生全員に送る場合
- あなたの知人全員に送る場合
どれが最も喜ばれるプレゼントを選べるでしょうか?
答えは言うまでもなく親しい友人に送る場合ですよね。
なぜなら相手の求めるものや価値観をよく知っているからです。
ビジネスアイデアを考える際にも同様のことが言えます。
多くの人に喜んでもらおうと考えると、アイデアはどうしてもぼやけてしまいます。
それよりもたった一人のコアな顧客が求めるものを深掘りすることで、より深いニーズを見つけ出し、独自性と便益を両立したビジネスアイデアを考え出すことができるのです。
この書籍では、実際にこのたった一人を深く分析するというマーケティング手法を体系化し、活用して効果を出した事例が多く掲載されています。
逆に失敗した事例も分析されていて、なぜたった一人を深く分析する必要があるのかを事例から紐解けるようになっています。
感想
私はマーケティングについては今までも勉強していましたが、この本を読むまで実際にどうマーケティングが効果を発揮するのかイメージができていませんでした。
市場調査をどう行えば良いか、その結果をどうビジネスアイデアに練り上げればよいか、具体的な流れと共に解説されていて、すぐに実践できる内容となっています。
私が最近参加しているMoAPというプログラムでも、仮説検証の重要性について学んでいます。
ビジネスアイデアの仮説が本当にニーズのある、独自性と便益を両立したものかどうかを検証することが、ビジネス成功のポイントだと痛感しました。
マーケティングを学んでいる方や、新規事業を始めようと考えている方には是非おススメしたい一冊です。
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